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静岡県浜松市で精密部品の放電加工を受託、電極設計から一貫製作

放電加工(EDM)は、導電性を持つ被加工物(ワーク)と電極の間に極小の放電を発生させ、ワークの表面を溶解することで、目的の形状を得る工法です。ワークとは非接触で、ミクロン(μm)単位の高精度な加工を行えるため、難削材やもろい材質のもの、薄いワーク、細穴などの加工に用いられます。

不二工機製造(FS WORKS)では、放電加工に特化した専用工場を持ち、±0.005㎜(±5㎛)の高精度加工に対応。静岡県浜松市を中心に静岡・愛知ほか、多くのお客様の放電加工・試作を承っています。

この記事では放電加工の原理やメリット・デメリットを解説しながら、不二工機製造で可能な放電加工の種類や部品加工の例、受注体制などをお伝えします。

そもそも放電加工(EDM)とは?

放電加工(EDM)は、導電性を持つワークと電極の間に放電を発生させ、ワークの表面を溶解することで、目的の形状を得る加工方法です。Electrical Discharge Machiningの頭文字を取って「EDM(イーディーエム)」とも呼ばれます。

  

放電加工の原理と仕組み

放電加工の原理と仕組みを説明_不二工機製造(FS WORKS)

ワークと電極の間に数μm~数10μmのすき間を空け、毎分数千~数百万回の放電を発生させます。高密度なエネルギーがワークにぶつかる衝撃と、ワークそのものが高熱となることで、ワークの表面が溶解します。

ミクロンレベルで高精度な加工ができ、高硬度、難加工材、難加工形状も加工できます。

  

放電加工はワイヤー放電と形彫放電の2種類に分かれる

放電加工の種類を大別すると、ワイヤー放電加工(ワイヤカット)と形彫(読み方:かたぼり)放電加工に分かれます。それぞれについて、簡単に解説します。

  • ワイヤー放電加工(ワイヤー線を用いる)
  • 形彫放電加工(形状を有した電極を用いる)

  

ワイヤー放電は、極細のワイヤー線に電気を流し、糸鋸のように加工を行います( 二次元的 ) 。

ワイヤー放電(ワイヤカット)の説明イラスト

形彫放電では、形状をもった電極(型)をワークに近づけ、目的の形状を得ます(3次元的)。

形彫り放電の説明イラスト_不二工機製造(FS WORKS)

不二工機製造(FS WORKS)は、細穴放電加工にも対応しております。

  

  

放電加工のメリットとデメリット

放電加工は、工具による物理的な工法と異なり、化学的な反応により不要な部分を除去する加工方法です。この特長により、以下のようなメリットが得られます。

  • 通電性であれば、ワークの強度や高度、じん性などを問わずに加工できる(モリブデン、インコネル、チタンなどの難削材、焼き入れ後のワークも加工が可能)
  • 電極の形に応じた複雑な形状を加工できる(切削加工ではできない複雑な溝やコーナー部分も加工が可能)
  • 非接触で加工を行うので、薄いワークやもろい材質のもの、細穴などの微細形状が加工できる
  • ミクロン単位の微細な加工となり、加工表面が精密に仕上がる(表面粗さRa1.5μm前後の鏡面仕上げも可能

一方、放電加工のデメリットは、以下の通りです。

  

  • 超微細加工のため、切削加工などの工法と比べて加工スピードが遅い
  • 形彫放電では、電極の設計・製作が必要となることがある
  • ワイヤー放電加工では、ワイヤー線の消費量に比例してコストがかかる
  • ほとんどの場合においてワイヤー線・電極は消耗品となる
  • 通電性のないワークは加工できない

  

静岡・愛知・浜松の金型・治具の設計製造メーカー、不二工機製造(FS WORKS)の放電加工技術と保有設備

  

不二工機製造(FS WORKS)では、放電加工機を計10台揃え、ワイヤー放電、形彫放電、細穴放電の受託加工に対応しています。国家資格保有者をはじめ専門知識を持つスキル者が多彩な加工に対応し、三次元測定による品質保証も実施します。

以下に、不二工機製造(FS WORKS)における放電加工の受託体制をお伝えします。

  • 電極設計から加工、検査まで一貫製作
  • 放電加工に特化した工場スペースと充実の保有設備
  • 合理的な工程を検討し、短納期を実現
  • 安定的な高精度加工を実現、幅広い材質と複雑形状にも対応
  • 最低ロットは1個から、最大高さ310mmまでの加工に対応
  • 専門知識を持つスキル者が製作、即日のお見積りにも対応
  • 三次元測定による品質保証

  

電極設計から加工、検査まで一貫製作

  

形彫放電用の電極設計・製作をはじめ、加工物の材料手配から加工、仕上げ、コーティング、検査まで一貫製作に対応しています。3D CADを使用した加工プログラムも自社で作成。前後の工程を含めた、より合理的な生産工程の構築にもお応えします。一括で発注対応が可能なため、設計変更への迅速な対応や短納期、コストダウンにつながります。

  

  

放電加工に特化した工場スペースと充実の保有設備

  

放電加工に特化した専用の工場を持ち、多様なニーズにお応えしています。ワイヤー放電加工機5台、形彫放電加工機4台、細穴加工機1台ほか、ショットマシン、流体研磨加工機を完備しています。

新型制御装置を搭載した機種や、インデックス(割出し)機能付きの機種など、三菱電機製の最新鋭の装置を揃え、お客様が求める納期・品質への対応に努めています。

  

不二工機製造(FS WORKS)の保有設備はこちら

  

合理的な工程を検討し、コストダウン・短納期を実現

マシニングや旋盤を含めた多彩な機械加工に対応していますので、より合理的な工程の提案・対応が可能です。工程の一部を別工法に置き換えることで、コストダウンや短納期につながる事例もあります。

前工程を含めた部品の製作や、コストダウン・短納期についてもお気軽にお問合せください。

  

  

安定的な高精度加工を実現、幅広い材質と複雑形状にも対応

  

寸法精度は機械精度ベースで ±0.005㎜(±5μm)、表面粗さ Ra0.25を安定的に実現しています。

対応材質は、SKD、SKH、超硬材などの難削材、ステンレス、アルミニウムほか、通電性を有する素材に幅広く対応いたします。

ワイヤー放電では、貫通穴のほかテーパ加工にも対応しています。形彫放電では、ポケット加工、ピン角加工、スプライン、アンダーカット、つば付きパンチ(止まり穴)のほか、複雑形状も対応が可能です。

最小電極径Φ0.3~の細穴放電加工も承ります。

  

  

最低ロットは1個から、最大高さ310mmまでの加工に対応

最低ロットはいずれも1個から承ります。ワイヤー電極の線径はΦ0.2・Φ0.25に対応しており、細穴放電ではΦ0.3~Φ6.0の電極径に幅広く対応しています。

対応できるワークの最大サイズと使用電極径は、以下の通りです。

ワイヤー放電最大サイズ600mm×400mm×310mm
使用線径Φ0.2 または Φ0.25
形彫放電最大サイズ500mm×400mm×300mm
細穴放電最大サイズ350mm×250mm×300mm
使用電極径Φ0.3~Φ6.0
  

  

  

専門知識を持つスキル者が製作、即日のお見積りにも対応

  

非接触除去加工(数値制御形彫放電加工作業、ワイヤ放電加工作業)をはじめとする国家資格1級・2級 技能検定合格者、その他専門知識を持つスキル者が多彩な加工に対応します。

短納期・高品質を目指し、生産計画の時点でより合理的な工程が考えられる場合は、提案・対応します。即日のお見積りもご相談が可能です。

  

  

三次元測定による品質保証

品質マネジメントシステムISO9001および、航空宇宙・防衛産業に特化したJIS Q 9100の認証にもとづく品質保証体制を構築。お客様および規制の要求事項に準拠した製品・サービスの提供に努めています。

ご希望に応じて三次元測定による品質保証も行い、検査成績表も製品と一緒にご納品します。生産管理に紐付いたトレーサビリティシステムを確立し、調達から生産・納品に至る工程ごとのデータを取得・管理し、正確で安心な製品をご提供しています。

  

  

不二工機製造(FS WORKS)の放電加工による製作例

不二工機製造(FS WORKS)におけるワイヤー放電、形彫放電、細穴放電の豊富な製作例を用意しました。参考にご覧ください。

ワイヤー放電(ワイヤーカット)

加工困難なテーパ加工やNCロータリーテーブルを活用した短納期加工など、さまざまな加工に対応できます。困っている加工があれば、一度お気軽にお問い合わせください。

  • 広角テーパ加工
  • NCロータリーテーブルを活用した加工

  

広角テーパ加工

ワイヤ径:Φ0.25mm
材質:銅合金
厚さ:40mm
寸法精度:形状誤差 0~0.004 mm、角度誤差  40度 ±1秒 

NCロータリーテーブルを活用した溝加工

60本の溝を等配加工した事例です。

加工精度:±0.01 mm以内
ワイヤ径:Φ0.2mm

  

  

形彫放電加工

焼き入れ後の材質硬度の硬いパンチ形状(抜けていない形状)などは、加工できる機械が限られます。そのような時に形彫放電加工の出番になります。最小の表面粗さ(面粗度)Rz1.0から加工可能ですので、お気軽にご相談ください。

  • スプライン軸 加工例
  • 輪郭加工
  • 横加工
  • ツボ加工
  • オートツールチェンジャーシステム(ATC)を使用した納期短縮例

  

スプライン軸 横加工による加工事例

スプラインの諸元をいただければ、電極設計製作から加工まで臨機応変に対応いたします。素材購入からCNC旋盤加工も自社にて一気通貫の対応が可能なため、短納期と高品質に貢献します。

材質:SCM435(浸炭前)→SCM435(浸炭後)
電極:銅

  

輪郭加工

棒電極を高速回転させて輪郭を彫っていく輪郭加工にも対応しております。

材質:YXR材(焼き入れ後)
電極:銅
加工精度:±0.005 mm以下
面粗度:Rz6.3~8.0

  

材質:SKD材(焼き入れ後)
電極:銅
電極径:2.3mm × 60mm
直角度と輪郭度:0.001~0.002 mm

  

横加工

加工軸を横方向にして加工する方法です。3Rシステムを使用し、イレギュラーな加工にも対応可能です。

加工内容:横加工による貫通テーパ加工
材質:SKD11(焼き入れ安定化処理済み)
電極:銅

ツボ加工

逆極性によるツボを使用した加工です。噴出液処理により安定した加工および加工面を得られます。

材質:SKD材(焼き入れ後)
電極:銅
加工精度:±0.005 mm
面粗度:Rz6.3~8.0

  

オートツールチェンジャーシステム(ATC)を使用した納期短縮例

荒加工から仕上げまでATCによる自動運転で効率化し、納期短縮に努めています。システム3RのATC治具を応用し、さまざまな加工に対応します

  

  

細穴放電加工

銅や真鍮のパイプ電極を高速回転させ、電気的に貫通穴を開けることができる工法です。通電するワークならいずれも加工が可能です。インデックスを使用した等配の穴開けや、角度を傾けた加工にも対応しております。

材質:SKD材
直径:0.5mm、8等配
角度:45度

  

  

放電加工のご依頼の流れ

不二工機製造(FS WORKS)では、放電加工の受託加工のほかテスト加工も承ります。ご依頼を検討の場合は、以下の流れをご覧ください。

  • ヒアリング・見積もり:お客様のご要望にもとづきお見積りを作成します(無料)。お問合せフォームよりお気軽にご相談ください。
  • ご契約・受入れ:条件にご納得いただけましたら、ご契約となります。加工品の受入れは、ご訪問による受取り、配送、お客様からの持込みのいずれにも対応します。受け取りは、片道1時間の範囲が目安です。
  • 電極設計・前加工:電極設計から対応し、マシニングや旋盤などの前加工も請け負います。
  • 放電加工・仕上げ:仕様にもとづき専用工場で加工し、鏡面などの仕上げ加工にも対応します。
  • 検品:測定技能を保有するスキル者により、三次元測定をはじめとする検品を行います。ご希望に応じて検査成績表を添付します。
  • ご納品:取り決めた内容に沿って梱包し、ご指定の場所まで納入します。

放電加工のご依頼に関するよくある質問

放電加工をご検討のお客様からよくいただく質問をまとめました。

Q1.ワークのサイズは最大どれくらいまで対応可能ですか?(X×Y×Z)
A1.ワイヤー放電:600mm×400mm×310mm、形彫放電:500mm×400mm×300mm、細穴放電:350mm×250mm×300mm です。

Q2.ワイヤー放電加工で使用する最小ワイヤー線径を教えてください。
A2.最小線径は、Φ0.2です。細穴放電では、Φ0.3の電極径に対応しています。

Q3.電極設計は依頼できますか?また、電極の素材は何ですか?
A3.はい、可能です。電極素材について自社製作では銅 および 銅タングステンのみですが、協力会社のネットワークによりグラファイトにも一部対応しています。

Q4.スプライン形状、タップ加工の放電加工は可能ですか?
A4.はい、可能です。

Q5.加工後の仕上がり面はどのような対応が可能ですか?
A5.梨地面・鏡面などの仕上げ加工に対応しています。

Q6.超硬材の加工で実現できる精度はどれくらいですか?
A6.機械精度で±0.005㎜(±5㎛)を安定的に実現しています。

Q7.超硬材への細穴放電加工について、どれくらいの最小径/深さまで対応できますか?
A7.最小径はΦ0.3~です。深さは材質や条件によって異なりますので、テスト加工にてお試しください。

Q8.超硬材へのワイヤー放電加工で、最小コーナーRはいくつですか?
A8.最小コーナーRは0.1強です。

Q9.加工液は水仕様ですか?油仕様ですか?
A9.ワイヤー放電・細穴加工機:水仕様、形彫放電:油仕様 です。

Q10.短納期は可能ですか?
A10.はい、可能です。ただし、前工程の有無や社内の工程状況によって製作期間が変わりますので、お客様のご希望をお聞かせください。

  

  

ワイヤー・形彫・細穴の放電加工は不二工機製造(FS WORKS)にお任せください

  

不二工機製造(FS WORKS)では、1966年の創業以来、精度要求の厳しい自動車業界に高精度な部品加工を提供してきました。図物一致の部品製作、幾何公差に忠実なモノづくりを得意としています。

地域でも有数の専用工場を保有し、最新鋭の機種を含む計10台の放電加工機を完備。ワイヤーカット、形彫放電加工による単品加工から、5軸マシニングや旋盤・研磨を含む各種加工も可能ですので、各種部品の製作から金型一式、装置物もお任せください。

放電加工によるテスト加工にも対応。自社の放電加工設備が空かない、複雑形状の一品物を加工したいなど、放電加工のご依頼先を探している方は、ぜひお気軽にご相談ください。

  

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